キム社長と秘書３

装う ページ4

NJ「早く終わったな」



『おつかれさまでした』





午後からの会議も早く終わり、予定していた時間よりも

かなり早く帰れそうだ。





以前ならこんな日は 決まって




“来ますか”



そう聞いてくれて、何度も家へお邪魔してきた。




だがあの夜を過ごしておいて、


もう家には招かれないのだろうと思っている。








行きたいなんて言えば、またあの展開を期待してるようだ。






『どうされますか』








どうってそれは 俺の思ってる意味で合ってるんだろうか


勘違いなら恥ずかしいだろう






NJ「なにがだ」



『‥‥ご飯 今日食べに来ますか』






期待していた言葉だとわかって、安心してしまった。




NJ「‥ああ。お邪魔していいか」



『今日はお鍋にしようかと。シンプルな昆布だしか辛いキムチ系かどちらがいいですか』


NJ「‥どちらもうまそうだな」




『うーん じゃあ途中で味変しようかな』




顎に手を当てて考えたかと思うと

わかりましたって、いつものように帰り支度をしている。




また誘ってくれたことに 喜んでるくせに

それを見せないよう なんでもないふりをした。







NJ「寄るところがあるから後でいく」


『わかりました。来るときに連絡ください』






お先に失礼しますと


キレイな礼をして先に帰っていく彼女



『ああ おつかれ』





横目で一瞬みただけで


気にしていないふりを装った。









俺はいい加減な男なんだろうか。


あんなことがあったのに、何食わぬ顔で家へ行くなんて。







Aさんはどういうつもりで誘ってきたのか




あの夜は 酔って間違いが起こっただけのことか


気まずくならないように聞いてくれたのかもしれない。





これまで通り



食事をご馳走になって帰るだけのこと。






変な期待をしないように。






そう思って彼女の家へ向かった。

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