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「ていうか」
口いっぱいに入れたスコーンを飲み込んだ後のユンギの言葉だ。
「部屋出てくって、どういう事?」
忘れてた、訳ではないがそれ以外の情報が多くて一時的にまた抜け落ちていた。
ソファに深く腰掛けたユンギの目線が真っ直ぐに注がれている。
痛い程。
何をどう言えばいいか。
その時の気持ちと勢いで決定してしまった事で、都合の良い嘘でも言えればいいのだが。
「…ユンギさんが、元彼女さんとまた付き合うって思ったし、なんか険悪だったのもあったし…で、ここに住んでたらつらいなーって、勢いで親に連絡しちゃったんですよね…」
ユンギの痛い程の目線に嘘なんか一つも思いつかず、思ったままを弱々しく吐き出した。
「ただのファンになるって決めたんですけど、やっぱり隣にいたら気になっちゃうし…誰かと付き合ってるユンギさん見るのも険悪なのも続くと思ったら、やっぱり」
「もういい、ストップ、一回タイム」
ユンギの顔を見れずもじもじと動かし続けていた手を見ていたのだけれど、ユンギの制止によって目線を上げた。
そしたらユンギは私を見てるどころか、天井を仰いで両手でその顔を覆っていた。
どういう事なんだろうか。
訳が分からなくてユンギの首の形がよく浮き彫りになった喉仏辺りを見ていた。
暫くそのままでいたと思ったら両手を顔面から離したユンギがソファから立ち上がって、私のすぐ隣に座った。
L字型のソファの短い方が私の座ってる位置で、つまりそんな広くない場所で_____
「あのさ」
真隣に来たユンギの肩が何もせずともぶつかっているし、ユンギの大きくないその声もやけによく聞こえた。
「今、自分が何言ったか分かってる?」
「何って…勿論分かってて言ってたつもりですけど、なんか変でした?」
「いや変とかじゃないけど、自覚ないの?」
自覚?
首を傾げた私の目と、眉を顰めたユンギの目が、今までにない距離でぶつかった。
「つらくて悲しくてここに住めないって思う程、俺の事好きって事でしょ?どんだけ好きなんだよ」
それは、確かに…自覚なかった。
余裕ありげなユンギの指摘にやっと冷めた顔がまた急激に熱くなった。
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かむ(プロフ) - にゃんさん» 最後まで読んで頂きありがとうございます🥹しかも新しいのまで!何回でも読み返して下さい!笑 (4月2日 15時) (レス) id: 5dfe42fd36 (このIDを非表示/違反報告)
にゃん(プロフ) - ユンギさんのお話最高でした!!最高すぎるのでもう一度読み返しに行ってきます!!(今更新中のお話もとても楽しく読んでます!私の日々の楽しみです!) (4月2日 12時) (レス) id: b48cf01a74 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - u512さん» 私のペンになんて嬉し過ぎます🥲✨私もいつも終わらせたいような終わらせたくないような気持ちで書いてます!(笑)最後まで読んで頂きありがとうございます🥹 (4月1日 10時) (レス) id: fb7c0dcb39 (このIDを非表示/違反報告)
u512(プロフ) - やはり最高です‼️‼️かむさんペンになってしまいました‼️一生終わらないで欲しいと毎度思ってます‼️最強に拗らせられました‼️‼️これからも楽しみにしています🥹✨ (4月1日 9時) (レス) @page34 id: 37a21340a3 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» 見てきたかのようななんて嬉しいです🥹こちらこそ読み続けて頂いてありがとうございます! (3月31日 20時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月27日 23時