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「…もしもし…」
「まだ起きてないな、起きろ6時半」
まだ寝てから一分くらいしか経ってない。
そう思いたいのに、閉じている瞼の向こう側に光を感じていて絶望感が襲う。
携帯を耳に当てたまま仕方なく身体を起こした。
「ちゃんと起きた?」
少し籠もった低い声がまた同じ事を言う。
「ユンギさんのせいでまた寝そうです」
覚醒しきれない頭では話す前に言葉を選ぶ事が出来ない。
寝癖が酷いであろう頭をくしゃくしゃと掻いても、目はまだ開けられない。
「そんな良い声、朝から聞いたら眠くなりますって」
そこで目をゆっくりと開けた。
朝日が私の部屋を明るく照らしていて、本当に朝だ、なんて天気や良い窓の外に目を向けて、覚醒した。
そして今し方、自分がユンギに何を口走ってしまったのか鮮明になって勢いよくベッドから飛び起きた。
「、起きたので切りますよ!ありがとうございました!」
ユンギの返事も待たず電話を切った。
正面切って良い声でなんて口を滑らせてしまうとは。
そりゃあ朝から恥ずかし過ぎて頭も冴えるってものだ。
寝起きとは言え、寝ぼけていたとはいえ、醜態を晒した頭を冷やそうと慌ててシャワーを浴びに向かった。
うっかり出る言葉が"本音"だという事くらい、きっとユンギも知ってるだろう。
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「なんか顔浮腫んでる?笑」
言うと思った。
わざわざ椅子ごと私の方を向いてまで、まじまじと顔を覗き込んでくるのはドユン。
「何?ラーメンでも食べた?」
「残念、トッポッキでしたー、あとこれはその浮腫みじゃなくてお酒の方だから」
パソコンの電源を入れた後で邪魔な髪を大きめのバンスクリップで纏める。
「一人晩酌?珍し」
「まさか。隣の人と一緒、トッポッキ持って行ったら飲む事になって」
別に何の気なしに口にした。
だって私の中でユンギはユンギでしかないから。
男とか女とかそういうんじゃなくて_____
でもそれは私だけの認識だったようだ。
「、あの男の家で二人で飲んだの?付き合ってもないのに?」
ドユンのその大きめの声に、周りの数人のスタッフがこっちを見たのが分かった。
「、いやユンギさんはそういうんじゃ…」
口を滑らせた。
ドユンの言い方を否定したい気持ちが強すぎて、名前にまで配慮が出来なかった。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時