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プロの音楽の人に醜態を晒してしまった…と、気まずくなっていたのだけれど
「その歌好き?」
一頻り笑ったユンギがそう聞いてきたからとりあえず頷いて答えた。
太陽の光を浴びたユンギのグレーの髪はキラキラといつにも増して輝いて見えるし、白い肌も眩しい。
「それ、俺が作ったやつだし俺も歌ってんだけど、気付いてる?」
「えっ?!」
まさか二回醜態を晒す事になるとは。
そしてユンギがまた爆笑とまではいかないにしても、細い肩を揺らしてクックックッなんて笑っている。
笑ってるというか、私が笑われているのだけれど。
脇の下に嫌なじんわり汗が滲んでるけど、頭の中では必死にユンギが歌ってる?ユンギが作った曲?と、歌の情報を掻き集めていて。
「あ、SUGAだ」
思い出した。
ユンギはSUGAだ。
歌の中の男性の声が、今し方やんわりと私に歌下手って言った人と同一人物だ。
じゃあ尚更。
「…歌下手ですいませんね」
プロじゃないんだから多めに見てくれればいいのに。
また込み上げてきた羞恥心が堪えきれず、ユンギを横目に見てそう口にすると
「まぁ、上手くはないよね」
と否定も肯定もしない言葉を眩しそうな顔で言った。
その口元が緩んでるのを確認したから'フォローしなくていいです'とつっ返すと、またカラカラと笑ったユンギ。
普段は割と淡々としてるし落ち着いた雰囲気なのに、笑う時は子供みたいだし意外とよく笑うんだ。
いや、今は笑われてるだけなんだけど!
鼻でゆっくり呼吸をして過去の恥晒しの事は忘れようと、淡く青く広がる漢江に目を向ける。
「ユンギさん、お昼ご飯何食べるんですか?」
わざと話題を変えようとした訳じゃない。
自分の昼食の参考にしようと思っただけだ。
「あー…まだ決めてない、な」
「私はキンパ頼もうか、野菜の残りをスープにしちゃおうか考え中なんですけどね、どっちが良いと思います?」
'参考までに'と付け足した。
ユンギはどんな感情なのか、眉頭に少しだけ力を入れた顔を見せて。
「スープにしたら?それで俺にもそれ持って来て」
グレーの髪を春の風に気持ち良さそうに靡かせて言った。
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かむ(プロフ) - サマンサさん» 彼には平然と煽ってもらいたくてこうなりました😂 (3月27日 19時) (レス) id: 03d417d136 (このIDを非表示/違反報告)
サマンサ(プロフ) - 煽り上手なユンギ痺れます...! (3月27日 17時) (レス) @page43 id: 950212af01 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - 苺あめさん» こちらこそ目を通して頂きありがとうございますㅜㅜ少しのんびり更新ですがにはなってますが是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです! (3月26日 12時) (レス) id: e587d3099d (このIDを非表示/違反報告)
苺あめ(プロフ) - かむさん、ユンギのお話をありがとうございます。ユンギと隣の彼女の関係が出会ってから急激に近くなって、でも元カノも出てきたりして、この先の展開が楽しみで仕方ありません。毎回、更新を楽しみにしています。これからも頑張って下さい。 (3月26日 10時) (レス) @page36 id: 3780d68ff4 (このIDを非表示/違反報告)
かむ(プロフ) - にゃんさん» わーありがとうございます🥹そしてユンギペンさま…ご期待に添えられるかわかりませんが、良ければ最後までお付き合い頂けたら嬉しいです🥹 (3月21日 9時) (レス) id: 40531361f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かむ | 作成日時:2024年3月20日 20時