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YG side
こんなタイミングってあるだろうか
Aがこっちの家に離婚届と家のカードキーを送ってきた翌日
突然のオフができた
まぁ、あと1日早かったら
何だったんだって話だけど
ピーピロリ♫
ガチャ
久しぶりに開けたAとの2人の家は
俺が1人で暮らしてた頃の状態に戻ってた
「・・・っ、くっ、、」
俺が泣く資格なんてねぇけど
勝手に出てくるから許してくれよ
「A・・」
この家にただひとつ残ったのは2人で選んだカーテンと、
僅かに残るAが好きなバニラアイスの甘い匂い
窓から差すオレンジの光がAみたいにあったかくて
俺は声が枯れるまで泣いた
「ん・・」
目が覚めたら
外は真っ暗だった
床で寝てたみたいで腰も背中も痛いし
腹も冷えちまった
ここにもしAがいたら、、
"ユンギそんなとこで寝てたらダメでしょ?お腹ピーピーしちゃうよ?"
なんて言って、無駄にモコモコの俺には一生似合わないようなブランケットをかけてくれただろうに
もうここに
Aはいない
シンと静まり返った部屋に
俺の心は暗くなった
こんな気持ちなのに、
冷蔵庫って材料入ってんのかな、捨てないと腐るよな
なんて、冷静に考えてキッチンへ向かう自分が嫌になる
「見とくか・・」
この家にはもう戻らない
2人の思い出らしいものなんてあまり無いけど
それでも2人の家だった
Aがいないこの家に
帰ってくる必要なんて
どこにもないから
カタッ
冷蔵庫のドアを開けると
「はっ・・何もねーわ。」
俺が帰ってこないと
わかってたもんな
中は空っぽで、キレイになってた
料理好きなAはいつもいっぱい食材を入れてたのに
あークソ
また泣けてきた
野菜室は?
カタッ
「あぁ、ここも空ね。だろうね。」
冷凍庫は?
「ここも・・・ん?」
二段になってる冷凍室の一番奥の左の隅っこ
霜だらけで化石みたいな
雪だるまみたいな何かがあった
「何だこれ、霜の塊か?」
涙で滲む目を擦り
俺はその塊を手に取った
霜をはらうとそれは
賞味期限が1年以上前のバニラアイスだった
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ミンの甘露煮(プロフ) - 名などないさん» コメありがとうございます!楽しんでいただきよかったです🫶新しい作品書きかけてますので、またご覧いただければ幸いです☺️ (3月25日 20時) (レス) id: b88aa79b26 (このIDを非表示/違反報告)
名などない - 本当に面白いお話でした! (3月25日 20時) (レス) @page50 id: 2206d7c546 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ミンの甘露煮 | 作成日時:2024年2月16日 20時