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やっぱり、そこが彼の不審点だったか。正直料理なんて、何を作ろうが私の勝手じゃない?とは思うけど。こんな時は寄り添わないと。
何も気にしていない素振りを見せて彼の誤解をとく。 こんな簡単なこと、ないだろうと鷹を括っていたが、
『…ねぇ私がわざとテヒョンに好物を振舞おうとしたと思ってるの?』
「そうは思いたくないよ。ただヒョン達にも食べてもらおうと提案したのは(人1)だし、二人の思い出料理を何も知らずに食べさせられる、俺の気持ち考えられなかったのかな?」
テヒョンの彼女が、どれほど大袈裟に伝えたのか。ただ私の得意料理だってだけなのに何の反論もできなくなった。というより徐々に面倒くさくなって、『テヒョンにだけ作ってたわけじゃないのに』____と彼にとって言い訳としかとれないことを言ってしまった。
「でもさタイミングがあるよね、ヒョンが居る前で(人1)は喜んでもらいたかったの?」
『…どうしてテヒョンとのことばかり疑うの?料理を作ったのは本当に偶然!でも違うって言っても信じないよね?』
「信じさせてくれないのは、ずっと(人1)の方だ」
『…分からないよ。私の何が不満なの?テヒョンとの何が心配なの?どんなに嘆こうと過去は変えられないの!私が彼を愛してたこと、それを僻んでまでグゥは私を嫌いになるの?』
「…好きだよ。好きだからこそ過去まで独り占めしたくなる。俺の(人1)なのにって……。」
ごめんね、と呟いた彼は。そっと部屋から居なくなった。私だって自分に自信があるわけじゃない、彼がいつ何処で何をしてるのか。不安にもなるし離れていたあの頃は、彼の好きが何よりも安心材料だった。
でも、どうして。距離がなくなった途端、その好きが疑心に変わるのだろうか。
『……っもう、分からない』
上手く恋愛できない、小さい苛立ちを何かのせいにしたくて。私は私が愛したテヒョンの所為にして落ち着こうと思った。でも、また言い訳ばかりして。
取り敢えず、イライラを憂鬱をかき消すかのようにキッチンの後片付けをして。作ったご飯にはラップをかけた。テヒョンが変わらない味だと言ってくれた肉じゃがも私が帰った後にでも食べてくれるとは思う。
彼に一声掛けるべきかなと玄関前で佇んだが。振り返ってみて、やっぱり止めておくことにした。
一言、メッセージだけ残して。
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あんこ(プロフ) - 展開が全く読めず、ドキドキしながら読み進めています。10の公開楽しみにしております。 (2022年7月11日 21時) (レス) id: b5da8987a5 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 一番好きな作品です!更新楽しみにしています! (2022年6月27日 1時) (レス) id: b3bd6e397d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 更新楽しみにしてました!何回も読んで毎日更新ないか楽しみにしています!大変だと思いますが頑張ってください。とってもおもしろいです! (2022年6月23日 13時) (レス) @page50 id: be7c7766b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chay | 作成日時:2022年3月13日 0時