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#405 ページ6

「…、ごめん。」



『…っ、いえ。』




突如やってきた、狭い空間に二人きり。昨日のようなお酒ありきの情緒とは全く違う私達、何を話せばいいんだろうと思っていた矢先、


わりとすぐにテヒョンが重たい口を開いてくれて。私は何処か安心した。テヒョンとは彼女のように気まづくなりたくない。何故かそんな気持ちを抱いていた。





『…そうだ、テヒョンこれ食べてみてよ。久しぶりに作ったから腕が鈍っちゃってさ』




別に味見を強制したわけじゃない、あわよくば。彼の率直な感想が聞きたくて。わざと距離を置いていたのにテヒョンを手招きすれば嬉しい顔も嫌な顔もせず。私の隣へ来てくれた。



改めて鍋を嗅ぐテヒョンの表情が緩んでいくのを見て。


昔に戻ったかのように彼の大きな口に運んだ後、『どう?あの時のまま?』なんて聞いてしまったのは、こんな私を見ては目を細めて頷いてくれたから。




懐かしさと同時に溢れてくる嬉しさ。それに相まって当時抱いていた淡い気持ちも思い出した私の気が緩んだみたい、彼の唇に垂れた汁を拭おうとしたのだが、




声に出さず伸びた左手は優しく私の手を拒んだ。






「…あいつさ不器用で、自信過剰で無駄に神経質で心配性で。中途半端が嫌いでさ」




『…うん、』




「(人1)が俺にとって人生を捨ててもいいって思ったほどの女性だったって言ったばかりに、あいつはあいつで、それを越えようとしてるんだ。でも、それが空回りして。上手く出来ない自分に苛立ってるだけだから。」




「嫌いにならないでほしい」と告げられた彼の瞳は勿論、彼女への愛に溢れていると思いきや色んな悩みを抱えて思い詰めてるように見えた。____




私には。それが、気がかりで。








『…大丈夫。私は彼女の事を嫌いになったりしないけれど、テヒョンは、好きでいる事が義務だって思ってない?』




「……ははっ思ってないよ。(人1)の時よりもきっつい喧嘩ばっかりだけど。メンタルは不思議と維持できてる。俺の事は何も心配いらないから」





魂の入ってないような笑顔。彼らしくない、我慢を覚えた子供みたいに。「(人1)も、ジョングガとのことで心配事があったら。なんでも相談してよ。」



何の説得力もない言葉を前にして、私は。その疑問と向き合うことも出来ないから、『ありがとう』とだけ口にした。

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設定タグ:ジョングク , キムテヒョン , BTS   
作品ジャンル:恋愛
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あんこ(プロフ) - 展開が全く読めず、ドキドキしながら読み進めています。10の公開楽しみにしております。 (2022年7月11日 21時) (レス) id: b5da8987a5 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 一番好きな作品です!更新楽しみにしています! (2022年6月27日 1時) (レス) id: b3bd6e397d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 更新楽しみにしてました!何回も読んで毎日更新ないか楽しみにしています!大変だと思いますが頑張ってください。とってもおもしろいです! (2022年6月23日 13時) (レス) @page50 id: be7c7766b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chay | 作成日時:2022年3月13日 0時

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