#426 ページ27
「(人1)。」
『え?!…グゥっ。へ、どうして?』
驚かすつもりはなかったけど肩に触れた瞬間びくっと体が震えて。そんなにバツの悪い顔したら余計に疑ってしまう。でも俺を見ては僅かながら表情が和らいだのは間違いなくて、
「一緒に帰ろうか」と彼氏アピールかのように二人の前で堂々と腰を抱いた。
すると、その腰に添えた俺の手を握りしめては頷いてくれる(人1)は怒ってないよ、と伝えているかのような微笑みで、さっきまでのモヤモヤも消してくれたんだ。
「タニ、久しぶりだね。おーい、(人1)は俺のだから。(人1)が好きな気持ちは分かるけど、主の彼女にも構ってあげな」
『…タニまた会えるから。楽しみにしてるね』
帰りたいのに、中々足が動かないのは。間違いないタニのせい。
本当にタニは(人1)が好きで堪らないのか。ようやく大人に先導されて帰宅準備を進めるものの、少しの隙を見つけてはすぐ飛び込んで。真っ先にキスをしようとする。
これがヒョンの手口なのか、とも思ってしまうほどだ。
「…(人1)さん!…また後で」
『……っ、うん。お疲れ様でした』
険悪な雰囲気漂う所にタニを置いていくのも可哀想な気がしたが俺は名残惜しむ(人1)を引っ張りつつ、一足早くスタジオから出た。
『グゥ、…来るなら来るで連絡してよ?びっくりしちゃった』
「ごめん、まさか俺も会えるなんて思ってなかったから。…それに変な意地はって連絡もできなかった。(人1)のこと大好きなのに」
『……、もう勝手に怒って連絡を断つのはやめて下さい』
「はい。」
好きでたまらないのは、(人1)じゃない俺の方なのに強がって。いつも余裕ぶって、突き放すことで(人1)への愛を感じて。つくづく最低な男に成り下がっていく。
いざ、サヨナラを言われれば泣きつくくせに。
「愛してる」に込められた気持ちは、誰よりも強いんだよ。
『…グゥ着替えないといけないんだけど。そろそろ離して?』
「…あ。よかったら手伝おうか?」
『ばかっ。』
俺達の関係は昨日まで縄が切れるスレスレ状態だった。(人1)の笑顔が戻って。安心してる場合じゃないけど自ら首を絞めることは、もうやめよう。こんな現状になったこそ俺達は一緒に居なければならない。
むしろ嫌がるぐらい一緒に居てやろうかな。
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あんこ(プロフ) - 展開が全く読めず、ドキドキしながら読み進めています。10の公開楽しみにしております。 (2022年7月11日 21時) (レス) id: b5da8987a5 (このIDを非表示/違反報告)
黒薔薇(プロフ) - 一番好きな作品です!更新楽しみにしています! (2022年6月27日 1時) (レス) id: b3bd6e397d (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 更新楽しみにしてました!何回も読んで毎日更新ないか楽しみにしています!大変だと思いますが頑張ってください。とってもおもしろいです! (2022年6月23日 13時) (レス) @page50 id: be7c7766b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chay | 作成日時:2022年3月13日 0時